人はなぜたばこを吸うのでしょうか?喫煙者は依存「症」なのでしょうか?

喫煙がすなわち病気である、という考え方は、喫煙者はニコチンへの依存によりたばこを吸っているという考え方に基づいたものです。

本当にそうなのでしょうか?

実際に喫煙者に伺った調査結果によれば、リラックスのため、気分転換のため、ストレス解消など、様々な回答が示されています。

厚労省が実施した調査の結果に示されている、男性の年代別喫煙率を見ると、20歳代から50歳代まで55.3%~58.6%と殆ど差がありません。
しかし、これが60歳代では36.8%、70歳代では27.7%と、喫煙率は急激に下がります。


もし喫煙が単にニコチン依存によるものならば、なぜ60歳代や70歳代で急に禁煙できるようになるのか、説明がつきません。

これは、定年を迎えて第一線を離れ、ストレスが減少したため、禁煙したい人は禁煙なさるものと考える方が合理的ですし、先ほど述べた喫煙者の喫煙理由にも合致するものと考えます。

ニコチンには依存性がありますが、その程度が弱いことについては、科学的にも認められています。


また、私たちが訴えられた東京たばこ訴訟において、依存性が争点の1つとなりましたが、依存性の専門家の見解を踏まえ、「喫煙習慣がついたあとの禁煙には困難を伴うものの、その依存性の程度は、・・・(中略)・・・喫煙者自身の意思及び努力による禁煙ができないほどのものではないと認められる。」との判決が示されています。


また、依存症とはどういう状態をいい、なぜ治療を要するのか、についても検討する必要があります。

現在行われている依存症治療の例としては、アルコールや違法薬物等の依存症に対する治療が挙げられますが、これらは、例えば昼間から酒を飲み仕事が出来ない、あるいは突然暴力を振るう等、通常の社会生活を送ることが出来ない状態の人々を対象に行われるものばかりです。

たばこを吸って通常の社会生活を送ることが出来なくなるということはありません。したがって、ニコチン依存は、依存症として治療する必要がある病気であるとは考えられませんし、また、その効果に疑問があることは、次ページの「医師による禁煙指導には効果があるのか?」に述べるとおりです。


また、中医協に事務局厚労省が提出した資料には、「ニコチン依存の程度が高い者は、禁煙の達成に際し必ず強い離脱症状(引用注:いわゆる禁断症状のこと)を伴う」と記載されています。


しかしながら、同じく事務局が提出した資料において「ニコチン依存症の概念が国際的に確立している」と断定している記述の根拠の一つとされた米国における依存症の診断基準(ニコチンに限らずアルコール等全ての物質に共通の判断基準)では、「ニコチンでは離脱の徴候や症状は存在するが、それほどはっきりしたものではない」と記述されており、「必ず強い離脱症状を伴う」という先の記載と矛盾します。

事実、ニコチンの依存性に関し議論が行われている中医協の委員には、依存性の専門家はおられず、参考人等その他の形も含め、一切依存性の専門家が議論に参画していません。

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2006年1月23日