2022年度一回戦第三局

対局結果

一回戦第三局 (中国大会)

181手にて稲葉八段の勝利

開催日:7月23日(土)
会場:広島サンプラザホール

山崎隆之八段

稲葉 陽八段

大盤解説:畠山 鎮 八段 聞き手:村田智穂 女流二段 読み上げ:長谷川優貴 女流二段

勝者の稲葉八段は、9月17日(土)に行われる「二回戦第三局」でシード棋士の豊島将之JT杯覇者と対局!!

  • タイトル・段位は対局時点のものです。

講評/勝利棋士コメント

大盤解説者・畠山八段の講評

対局前の両者のコメントでは、山崎八段は「『JTプロ公式戦』は出場すること自体が大変で、昔からこの棋戦に出るのが棋士としての一つの目標でした。

稲葉八段とは研究会をしている間柄なのでわかるのですが、行きの新幹線の中で気合いを感じるいい顔をしていました。明日は厳しい戦いになると思いますが、自分の力を出し尽くして激戦になるように頑張りたいです」と意気込みを語った。

稲葉八段は「『JTプロ公式戦』はわずか12名しか出られない棋戦で、私は今回が4年ぶり2回目の出場です。山崎八段は居飛車党ですが自由奔放というか普通の棋士とはちょっと違います。

私自身は基本的には積極的な棋風だと思っているのですが、明日は独自の形になる可能性もあるので、うまく対応して『JTプロ公式戦』初勝利を目指したいと思います」と抱負を語った。

振り駒はと金が4枚で稲葉八段の先手と決まる。相掛かりとなるが、後手陣は見たことのない形に。▲5七角と絶好の位置に角を据えた先手が優位に立ったかに見えたが、後手も中央から手を作り難しい中盤戦に突入。

優劣の針は大きく揺れ動くも、お互い自陣に駒を投入して容易に土俵を割らない大熱戦に。最後は稲葉八段が後手玉を即詰みに討ち取って「JTプロ公式戦」初勝利を挙げた。

大盤解説の畠山八段の講評は以下の通り。

「相掛かりとなりましたが、局後山崎八段が「何をやりたいのかわからない将棋」と言われたように後手陣は凝り形で駒が偏っており、47手目▲5七角と端に狙いを付けて先手の作戦勝ちでしょう。

ただその後▲8四桂とじっくり行こうとしたため、後手も早逃げをして混戦模様になりました。公式戦ですし、お客様の見ている公開対局というダブルのプレッシャーの中で形勢は三転四転、激しく揺れ動きました。

お互い自陣に駒を打ち付け合う執念を見せ、結果的に180手を超えるねじり合いの将棋になりました。私が解説した中でもここまでの大熱戦は滅多にありません。ご覧になった方もこの迫力には満足していただけたのではないでしょうか」。

勝利棋士・稲葉八段のコメント

こちらは普通ですが、山崎八段の意図が分からない駒組みがまとめにくそうで、一人作戦勝ちになりました(笑)。

ただ61手目▲8四桂が少し筋が悪かったかもしれません。後手に食いつかれてしまって、その後だいぶ悪い局面になりました。

長く辛い将棋になったと思いましたが、▲3八香、▲5八桂、▲3九歩と自陣に駒を打っての辛抱で山崎八段が「頭が真っ白になった」ということですから頑張りが功を奏したと言えるでしょうか。

途中お互い勝ちの局面が何度もあった将棋だったと思います。ともあれ「JTプロ公式戦」初勝利はうれしいですね。

次は連覇中の豊島JT杯覇者ですから難敵ですが、いい将棋をお見せできるよう頑張りたいと思います。

動画

対局の動画をご確認いただけます。

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棋譜

稲葉八段
山崎八段
(持ち時間各10分間)
【操作方法】
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棋譜を反転

まで181手で先手の勝ち

消費時間=10分10分