JTグループの労働安全衛生

JTグループの労働安全衛生

JTグループで働くすべての従業員を、業務上のあらゆる怪我や病気から守るため、安全な職場環境を提供することは、私たちの責務だと考えています。JTグループの多くの事業所では、ISO 45001(OHSAS 18001)に基づく高い労働安全衛生基準を設けており、JTグループの基準はすべての地域において法規制に準ずる、もしくはそれより高いものとなっています。

私たちの労働安全衛生基準が、現地の法規制より厳しい場合は、当該国の事業所に私たちの規準を遵守するよう義務付けています。労働安全衛生基準の適用範囲には、JTグループの従業員のみならず、請負業者や当社の事業所への訪問者も含まれます。

目指す姿

私たちは人財への投資を通じて、従業員や社会から選ばれる企業になることを目指します。

中期取り組み目標(KPI)

労働災害ゼロを目指し、労働災害発生件数を2023年までに25%、2030年までに50%削減します。(基準年:2015年)

たばこ事業の労働安全衛生の進捗

20万時間当たりの労働災害発生件数*は、2015年の0.72から2020年は0.30となり、58.9%減少しました。

2015 2016 2017 2018 2019 2020
労働災害件数 (20万労働時間当たり) 従業員 0.72 0.64 0.67 0.50 0.49 0.30
*

20万時間当たりの労働災害発生件数の計算にあたっては、買収により新しくJTグループに加わった企業にJTグループの労働安全衛生基準を導入するのに1年半かかることから、該当する新規買収子会社の過去データの一部を除外しています。

労働安全における3つの柱

JTグループは安全が最優先であるという認識のもと、以下の3項目を柱として安全な職場づくりに取り組んでいます。

  1. 1. 安全な職場環境の実現

  2. 2. 労働安全に関わる知見の共有

  3. 3. 労働安全を重視する企業文化の醸成


国によりリスクの程度は異なりますが、JTグループにおいて最も労働安全リスクが高いのは、車両やオートバイの運転、機械操作を伴う業務、
またスリップ・転倒・転落のおそれのある作業です。

これらの労働安全リスクを低減し、労働災害を防止するために、サプライチェーン全体でリスクアセスメントに取り組んでいます。それが、職場における危険箇所の把握、適切な対応策の実施、そしてJTグループの従業員を守ることにつながっています。また、従業員の労働安全に対する意識を高め、労働安全を大切にする企業文化を日々の業務の中で醸成していくことに
も注力しています。

安全への取り組み
安全への取り組み

2019年には、海外たばこ事業で新たに運転者向けの安全方針やガイドラインを策定しました。この新ガイドラインは運転者の行動に着目するもので、リスクアセスメントを実施し、事故を起こす可能性が高い運転者を特定することをすべての事業所に求めるとともに、活動の成果や今後の対策について報告することを義務付けています。2020年に本アセスメントが一巡し、その結果、海外たばこ事業の事業所では平均してガイドラインの80%が遵守されていることが分かりました。

女性従業員の増加に伴い、方針には妊娠中の従業員が運転を行う際の安全に関する項目も盛り込まれています。2019年から2021年までの間に、3万人の従業員が安全運転講習を受講する予定です。

すべての事業所でリスクアセスメントが容易に行えるよう、2020年には新たなツールを展開しました。国内のインフラ不足や不十分な交通規制のために交通事故を減らすことがこれまで困難だったエジプトでこのツールを試験的に実施したところ、現地の労働安全衛生担当者や従業員から非常に高い評価を得られています。新型コロナウイルス感染症の世界的拡大はあったものの、私たちは従業員を何よりも大切にするとの考えから、この新しいリスク評価ツールをエジプト、レバノン、ヨルダン、フィリピン、インドネシア、ナイジェリア、トルコ、ポーランドなどで展開し、1,700人以上の運転者がこのツールを利用しています。

日本国内では、「営業活動中の車両事故防止」を2020年労働安全衛生計画の優先課題としています。

グローバルに同じ基準を

JTグループは地理的拡大の一環として、新市場での企業買収を行っています。

  • 2017年には、インドネシアのたばこメーカーの買収とフィリピンのたばこメーカーの資産取得を行ったほか、追加取得によりNational Tobacco Enterprise (Ethiopia) Share Company *1の株式の過半数を保有することとなりました。

  • 2018年には、さらにロシアとバングラデシュでたばこ会社を買収しました。

  • こうした買収により、JTグループの従業員数が大幅に増加しています*2

このような買収企業のほとんどは、社会的・経済的に数多くの課題を抱える新興国で事業活動を行っています。このことから、労働環境をよりよいものとしていく責務があると私たちは感じています。そのため、買収後の企業にはJTグループの方針を確実かつ迅速に導入しています。また、各事業所を訪ね、こうした方針がグループ全体で理解され、確実に根付くよう、責任者をサポートしています。

こうした国々では特に労働安全衛生の問題が、地域コミュニティ、従業員、請負業者、事業の継続性に重大なリスクを及ぼします。そのため企業買収を行う際には、早い段階からリスクを分析した上で体系的な取り組みを行うようにしています。

海外たばこ事業の労働安全衛生チームは、新たに買収しようとする企業が所在する国のリスクアセスメントを行い、JTグループの基準を満たしているかどうかを確認します。買収後は、現地事業所による主要リスクの特定や18カ月の行動計画の策定・実施をサポートし、各社の方針がJTグループの基準に沿ったものとなるよう支援していきます。

エチオピアでは、JTグループの方針や基準を導入したことで、従業員の労働環境がはるかに安全なものとなり、同国での労災発生件数が劇的に減少しました。以前は、安全リスクの中でも、特に動作機器による事故や転落、交通事故が多く発生していましたが、今では従業員が安全意識を持つようになりました。今後も安全な職場を生み出す努力を続けていきます。

*1

JTグループは2017年12月に追加株式取得により同社株式の約70%を保有することとなりました。

*2
エチオピアにおける業務災害の発生状況(2018 vs 2019)
買収企業に対するHSアプローチ

より良い職場づくり

JTグループでは、すべての従業員がいきいきと働くことができるよう従業員の健康保持・増進に力を入れています。職場の衛生環境や業務が体に及ぼす影響を定期的に評価するなど、グループ内で様々な取り組みを行っています。

施策を企画し運営するにはデータが欠かせないことから、2018年に新たな方針を定め、すべての事業所に対して、業務上疾病に関連したデータを本社に報告するよう義務付けました。これにより、グループ全体でどのようなリスクがあるのかを把握し、業務上疾病についてグループとして一貫した対策を展開するとともに、既存の施策を強化するよう努めています。

報告された案件はすべて、現場の責任者が調査し、原因を特定します。業務や職場に起因する疾病と判断された場合は、従業員の健康を第一に考え、再発を防止するため適切な措置を速やかに講じます。

よりよい職場づくり

新型コロナウイルス感染拡大への対応

JTグループでは何よりも人を大切にしています。あらゆる意思決定において、従業員とその家族、そしてすべてのステークホルダーの安全を最優先しています。

JTグループでは、新型コロナウイルス感染症の影響を抑えるために多くの対策を実施しました。リスクの大きさに応じた対策を取るという考え方のもと、JTグループにとって最大のリスクを特定し、当該リスクへの対策を優先的に実施しました。

新型コロナウイルス感染症が事業に与える影響をさまざまな角度から分析しています。新型コロナウイルスの発生が認められた2020年1月の段階で、私たちはこの感染症を、従業員やJT事業に関わる人々への脅威だと明確に認識しました。社内のセキュリティ・労働安全衛生担当者は、この感染症が出張や労働安全衛生、サプライチェーンに及ぼす影響について、日次レポートの作成やリスクアセスメントを速やかに開始しました。これにより、経営陣は最新情報に基づいた迅速な意思決定ができるようになりました。

また、事業継続のため、ベストプラクティスのグループ内周知に努めました。各国オフィスや工場、営業所など、様々な職場環境に対応した労働安全衛生ガイドラインもそのひとつです。世界中の事業所を支援するため、必要に応じてマスクなどの個人用保護具を調達し、提供しました。

また、7,500人以上の従業員に労働安全衛生をテーマとしたオンライン研修を実施しました。労働安全衛生リーダーには、具体的なリスクアセスメントや感染防止対策に関する追加研修も行いました。この研修は、販売スタッフや清掃・衛生管理スタッフ、警備員など、感染リスクが高い従業員も受講可能です。

JTグループでは、これまでもフレックスタイムと在宅勤務を推進してきました。そのため、新型コロナウイルス感染拡大直後より、オフィス勤務者は業務に支障なく在宅勤務に切り替えることができました。

国境が次々と閉鎖され、旅行者に厳しい規制が予告なく課せられることも頻繁にあったため、従業員に出張・渡航に関する安全情報も提供しています。

私たちは科学的根拠に基づいた手法で、従業員にとっての最大のリスクを特定しています。イントラネット上の労働安全衛生ページでは、世界中の全従業員がアクセスできるよう、新型コロナウイルス感染症に関する方針とガイドラインを掲載し、明快かつ科学的に正確な情報を提供し続けるようにしています。従業員が自分自身や大切な人を守るのに必要な情報と手段を持つことができるよう、新しいオンライン技術を活用し、リスク対策を所管するさまざまな部門間の協力体制を強化しています。

Véronique Goy Veenhuys, Founder and CEO of the EQUAL-SALARY Foundation

Alicia Olo Martinez Director, Global Health and Safety, Corporate Sustainability, JT International

William L

William L. Wallrapp Director, Corporate Security, Sustainability Management Division, JT

2020年はまったく予想もしない一年となりました。新型コロナウイルス感染拡大という非常事態と、それが経済や社会にもたらした影響は予期せぬものでした。しかし、JTグループは断固として危機に立ち向かいました。オフィス勤務の従業員については全面的に在宅勤務に移行し、工場では厳格なソーシャルディスタンスや衛生対策を徹底するなど、経営陣は、世の中に先んじてさまざまな対策を講じました。これは、新型コロナウイルス感染拡大が、事業活動のあり方を根本的に変えてしまうような大きな変化をもたらすとの認識に立ってのものです。2021年も予断は許しませんが、経営陣が常に最新情報に基づき最善の判断ができるよう、今後もタイムリーな形で提言やリスクアセスメントを行います。

新型コロナウイルス感染症が事業に与えた影響については、統合報告書2020(P.10)別窓で開く をご覧ください。

ケーススタディ

従業員の健康づくりと社会貢献

JTは「Table for Two」プログラムに参加しています。これは、東京のJT本社社員食堂で従業員がTFTメニューを1食購入するたびに、途上国に給食1食分の金額を寄付するという取り組みです。

2020年は新型コロナウイルス感染拡大により、在宅勤務も標準的な勤務形態になり、食堂の利用が減少しました。しかし私たちは、従業員の健康維持を促進しながらこのプログラムを継続する新たな取り組みを行いました。2020年10月の1カ月間、1人が1日8,000歩歩くごとに、給食1食分を寄付することとしたのです。約2,000人の従業員がこのウォーキングラリーに参加しました。

コミュニティインベストメントの取り組みについての詳細はこちらからご覧ください。

人財の確保

JTにおける健康経営の取り組み

JTグループでは、経営理念である4Sモデルの中で重要なステークホルダーとして位置づけている従業員について、その一人ひとりの“心”と“体”が健康であることは、経営理念に基づく事業活動を行う上で欠かせない要素であるとともに、会社の持続的成長の基盤であると考えています。
JTでは、労働安全衛生の取り組みに加え、従業員一人ひとりが心身ともに健康で持てる力を最大限に発揮できるよう、経営トップによる「健康経営宣言」のもと人事担当役員を健康経営推進責任者に位置づけ、従業員の健康増進に努めています。

JTにおける健康経営の取り組み

2021年には、優良な健康経営を実践している法人として「健康経営優良法人2021~ホワイト500~」に認定されました。本制度が開始された2017年から5年連続の認定となります。今後とも、従業員の健康増進を重要な経営課題のひとつと位置づけて、積極的に取り組んでまいります。

健康経営優良法人2020~ホワイト500~

・健康経営推進体制

JTでは、従業員が心身ともに健康な状態を維持し、高いパフォーマンスを継続的に発揮できるよう、経営トップ主導のもと、人事担当役員を健康経営推進責任者として健康経営推進委員会を設置するとともに、全国11カ所の主要エリアに専門の保健スタッフ(医師、保健師)を配置するなど充実した健康支援体制を構築しています。

健康経営推進体制

・取り組み方針とモニタリング指標

JTでは、企業の持続的成長に向けて、身体の健康/心の健康/エンゲージメント/労働生産性を主要な観点としたモニタリング指標を設定し、従業員の健康増進に向けた取り組みについて、それぞれの施策でPDCAをまわしています。
特に、身体の健康や心の健康(メンタルへルス)といった観点に加え、プレゼンティーズムにも着目した取り組みを強化する中で、「睡眠」に対する教育にも力を入れています。

取り組み方針
モニタリング指標

・多様性に根差した健康支援

JTでは、多様性を尊重しており、従業員の健康支援についても、個々人の生活環境や価値観に基づき、自分に合った自分らしい健康づくりができるよう、多様性に根差した取り組みを行っています。
具体的には、全国11カ所のエリアに従業員の健康支援を専門に行う保健スタッフ(医師11名、保健師34名)を配置している強みを最大限に活かし、一人ひとりに対して、保健スタッフが個別に面談して、健康診断結果のフィードバックや個々人のライフスタイルに合わせた睡眠や食事、運動等の生活習慣に関するアドバイスを行っている他、地域特性等も踏まえた健康講話会や啓発イベントを事業所ごとに定期的に開催する等、きめ細かい健康支援を実施しています。

健康支援
健康支援
健康支援

・社内外との協働

他企業とタイアップしオフィス内で従業員にスポーツを楽しんでもらう健康づくり活動を、これまではオフィスで行っていたが、2020年はオンラインでの開催や家族の参加も可能とする等の工夫をして実施しています。
また、ジェイティ健康保険組合との協働による健康づくりポータルサイト「PepUp」を活用し社会貢献活動を兼ねた全社イベントとしてウォーキングラリーを開催するなど、コラボヘルスも積極的に展開しています。

・メンタルヘルスへの取り組み

JTは、職場におけるメンタルヘルスの重要性を認識し、メンタル疾患の予防に取り組んでいます。専門医やカウンセラーによる社内相談窓口の設置や社外専門機関による電話・面談カウンセリング、ラインケア研修やセルフケアセミナーも実施しています。
これらの取り組みにより、メンタル不調者の発生率は低い水準で推移しています。また、欠勤率に係る一つの指標として「社員1,000人あたりの欠勤日数(身体疾患含む)」を労使間で検証しています。(2019年度2,135日→2020年度1,866日)

・多様な働き方と労働時間管理への取り組み

多様な働き方を支援する仕組みとして、フレックスタイム制やテレワークの導入、育児・介護のための制度整備を進めるとともに、労働時間は社員の心身の健康に大きな影響を及ぼすことから、JTでは、上司と部下のコミュニケーションを基本としたうえで、パソコンでのログオン/ログオフ時刻を上司が確認しつつ勤怠管理を行えるシステムを導入するなど、適正な労働時間の把握・管理に取り組んでいます。
また、労使で時短推進検討委員会を設置し、社員が心身ともにリフレッシュできるよう、時間外労働の削減や年休取得の促進に積極的に取り組んでいます。
これらの取り組みにより、近年の所定外労働時間は1カ月平均20時間を下回っており、生産性の向上にも
寄与しています。