環境と事業活動
生態系影響評価の実施、責任ある水資源マネジメント、森林資源の保全、持続可能な農業
生態系影響評価の実施
私たちは、「人の暮らしや社会、企業の活動、あらゆる人の営みは、生態系を紡いでいく一部である」と考えており、JTグループマテリアリティにおける「自然との共生」においては、我々の活動が自然環境に与える影響の改善を通じて、自然と人や企業の健全な関係性を保全していくことを目指しております。
私たちの事業が生態系に及ぼし得る、その復元力を超える負の影響を解消していくべく、JTグループの各事業が生態系に与える影響および各事業の生態系への依存の評価を、生物多様性の観点を含め、たばこ事業については2024年までに、医薬事業および加工食品事業については2025年までに、それぞれ実施することをJT Group Sustainability Targetsで掲げています。
また、JTグループは、賛同企業や団体が実施すべき生物多様性に関する具体的な活動をまとめた意欲的な行動指針である「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」に賛同しています。
JTグループ生物多様性宣言については、こちら(英語)からご覧ください。
2022年には、TNFD v0.3と国連自然保護連合(IUCN)のガイドラインに基づいて、自社事業、上流の活動、下流の活動を評価範囲として、たばこ事業における生物多様性への影響と依存についての初期リスクアセスメントを実施しました。
JT Group Sustainability Targets の達成に向けて、2024年にはたばこ事業において、Science Based Targets Network (SBTN*)の分析手法に基づき生態系影響評価を行いました。これにより、たばこ事業と自然との関係における影響と依存の関係を分析し、取り組み優先分野および地域を特定しています。
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SBTN:自然環境保全・環境負荷低減のため、水・土地・海洋・生物多様性・気候の5つの領域における科学的な目標・活動の方法論を開発する、非営利団体・経済団体等からなる国際組織
当評価では、以下の主要なステップで生態系影響評価を実施しています。
ベースラインデータの収集
たばこ事業のバリューチェーンにおいて最も重大な生態系への影響と依存を特定するため、バリューチェーンおよび、マーケットや葉たばこ調達国におけるベースラインデータの収集を行い、評価の基準を明確化しました。
アセスメントの実施
たばこセクターレベルでのアセスメントによって、たばこ事業における生態系への潜在的な影響と依存関係の分析を行い、生態系への影響と依存が生じる範囲を特定しました。
影響と依存の定量化
たばこ事業が生態系に与える影響および依存について、グローバルな分析だけでなく、ブラジル、マラウイ、ザンビア、タンザニア、インドネシア、バングラデシュなど一部特定の国々の詳細な調査を行い、生態系に与える影響と依存についての定量化を実施しました。
優先地域の特定
定量化した分析結果に基づき、たばこ事業の直接操業および、バリューチェーン、隣接地域などの様々な影響範囲における、取り組みの優先地域を特定しました。
今後、たばこ事業において特定した優先地域ごとのアクションプランを策定するとともに、生態系の保全に向けた戦略および目標の策定を行う予定です。
さらに、2025年より医薬事業、加工食品事業においても同様のプロセスを通じて生態系影響評価を行っており、各事業が生態系に与える影響と依存を特定し、JTグループの活動が生態系に与える影響の改善ならびに生態系および自然との健全な関係性を構築するべく取り組みを進めていきます。
たばこ事業の生態系影響評価については、JTインターナショナルのウェブサイト(英語)をご覧ください。
責任ある水資源マネジメント
水資源は貴重な共有資源であり、水の供給、水質、洪水、干ばつ、法規制などへの対応は、JTグループだけでなく、社会全体で取り組むべき重要な課題と認識しています。
JTグループは、「責任ある水資源マネジメント」をJT Group Sustainability Targetsに掲げ、水不足の地域におけるJTグループの水資源の活用状況を適切にモニタリングするとともに、2030年までにたばこ事業における水使用量を2019年比で33%削減することを目指しています。
さらに、たばこ生産拠点においては、2030年までにAlliance for Water Stewardship*(AWS)認証の取得率100%を目指しています。
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Alliance for Water Stewardshipは、世界自然保護基金(WWF)やThe Nature Conservancy(TNC)、自然資本連合(NCC)等のNGOと主要な企業や学術機関が共同で設立した、水のサステナビリティを推進するためのメンバーシップ
私たちは、水リスクへの対応と効果的な水資源管理を促進するための取り組みの一環として、2020年以降、全てのたばこ生産拠点だけでなく、サプライヤーを含めた水リスク評価を継続的に実施しています。私たちが実施する水リスク評価では、水資源へのアクセス、水質、規制、洪水や干ばつなどの自然災害、将来予想される水ストレス状況を指標としています。評価結果をもとに、水リスクの軽減に必要な行動計画を策定し、水資源管理の強化を図っています。
さらなる水資源管理の推進に向けて、たばこ生産拠点におけるAWS認証の取得を通じて、水資源管理の向上を図るとともに、さらなる水の保全やスチュワードシップの推進に向けてステークホルダーとの連携のもと取り組んでいきます。
水資源管理については、JTインターナショナルのウェブサイト(英語)をご覧ください。
定量目標に対する進捗
水資源の効率的利用などの取り組みによって、2024年末時点でたばこ事業における水使用量を2019年比で22%削減しました。

森林資源の保全

製品に使用される紙や、葉たばこ乾燥工程で燃料として用いる木材は、たばこ事業において重要な資源です。JTグループは、生物多様性の向上も見据え、サプライチェーンにおける森林資源を持続的に確保するための取り組みが極めて重要であると考え、「森林資源の保全」をJT Group Sustainability Targetsに掲げています。
具体的な目標として、JTグループのたばこ事業活動および同事業の葉たばこ・紙・パルプ素材のサプライチェーンについては2025年までに、たばこ事業サプライチェーン全体については2030年までに⾃然林の破壊をなくすことを掲げています。また、保全価値の⾼い (HCV: High Conservation Value) 地域については2025年までに、すべての⾃然地については2030年までに、⾃然⽣態系の転換をなくすことを目指しています。さらに、JTグループのたばこ事業サプライチェーン全体において、2030年までに管理林の破壊ネットゼロに向けて取り組んでいきます。
2025年は、自然林の破壊および自然生態系の転換がないこと(DCF)*の検証や、モニタリングに関する戦略の策定を進めています。
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森林破壊および自然生態系の転換のない(DCF: Deforestation and Conversion Free)
森林資源の保全については、JTインターナショナルのウェブサイト(英語)をご覧ください。
定量目標に対する進捗
2024年は、2025年以降の取り組みに向けた準備の年と位置づけ、自然林の破壊および自然生態系の転換がないことの第三者による検証・モニタリング実施に向けた準備を進めました。
持続可能な農業
たばこ事業において、葉たばこは欠かすことのできない原料です。葉たばこは農作物であり、生態系への影響という観点から見過ごすことのできない農薬に関する取り組みを含め、「持続可能な農業」をJT Group Sustainability Targetsに掲げています。
具体的な目標として、JTグループの直接契約葉たばこ農家において、クラス1に分類されるHigh Hazardous Pesticides(HHPs)については2024年までに、すべてのHHPsについては2040年までに、その使用を廃止することを掲げています。また、2030年までに、直接契約葉たばこ農家の100%において、Good Agricultural Practices(GAP)のプロトコルを実践します。
2024年末時点、すべての直接契約葉たばこ農家において、クラス1に分類されるHHPsの使用がないことを確認しています。引き続き、2040年までにすべてのHHPsの使用廃止に向けて取り組んでいきます。また、直接契約葉たばこ農家におけるGAPのプロトコルの実践割合は85%でした。
持続可能な農業については、JTインターナショナルのウェブサイト(英語)をご覧ください。
定量目標に対する進捗
すべての直接契約葉たばこ農家において、クラス1に分類されるHHPsの使用を計画どおり廃止しました。HHPs完全使用廃止に向けて、直接葉たばこ農家との継続的な取り組みを進めていきます。また、GAPのプロトコルを実践する直接契約葉たばこ農家の割合は、86%に達しました。
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当社は、2025年5月7日付で、塩野義製薬株式会社への医薬事業の承継および当社子会社の鳥居薬品株式会社(以下、鳥居薬品)の株式の譲渡に係る合意について公表しておりますが、本ページに記載しております当社グループの実績や取り組みについては、医薬事業および鳥居薬品に係る内容を含んでおります。2025年5月7日付の公表内容の詳細は以下をご参照ください
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